製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
エバ工業株式会社
設立
1953年
所在地
三重県員弁郡
業界
工作機械・加工機
事業内容
工作機械の周辺設備の設計製作、工場の無人化・自動化サポート
エバ工業株式会社

事例 CADDi Drawer

「CADDi Drawerなしでは設計できない」――国境を越えたDX連携が、技術部の生産性を向上。ベテランの経験を全社の資産に変えた、次世代への技術継承

技術部フェロー

出口 徳夫

技術部部長

早川 友輔

導入前・導入後

①技術継承:設計業務がベテランの“記憶”に依存し、技術が属人化。担当者不在時には類似過去案件の調査が困難。②業務効率:図面や関連情報検索に時間がかかり、設計のリードタイムが長期化。ベトナム拠点への設計指示に多くの手間と時間差が発生。③組織・人材:営業は設計・現場経験を積んだベテランが担当。若手の戦力化に5〜10年単位の時間が必要だった。④グローバル連携:日本側で多くの参考資料を準備し、ベトナムへ細かく指示出しを行う必要があり、コミュニケーションコストが課題。

①技術継承:過去の図面や情報資産が全社で共有可能に。ベトナム拠点から「なくてはならない」と言われる、組織の知識基盤を構築。②業務効率:検索時間が大幅に短縮され、技術部の生産性が向上。海外拠点が自律的に設計を進められる体制を確立。③組織・人材:文系新卒の営業担当者が3年で独り立ちし、迅速な見積対応を実現。新人教育の期間を大幅に短縮し、即戦力化を促進。④グローバル連携:最小限の情報共有で、ベトナム拠点が自律的に類似図面を探し設計を推進、メンバーの士気も向上。国境を越えたシームレスな連携が実現。

インタビュー

「これは他社と違う」導入決断の裏側にあった、ベテランの慧眼

一品一様の受注生産が事業の核であり競争力の源泉でもあるエバ工業。その強みの一方で、技術部には長年の課題が存在した。都度発生する設計業務において、過去の類似図面を探し出す業務は、個々の設計者が持つ「記憶」に大きく依存していたのだ。そこで、導入検討を始めたのが、製造業AIデータプラットフォームCADDiおよび、そのアプリケーションである製造業データ活用クラウド CADDi  Drawerである。

 

技術部門に長く携わり、現在はエグゼクティブアドバイザーとして後進の指導にあたる出口氏は、当時の状況をこう振り返る。

 

出口氏「これまでは、設計者の過去の記憶の中で『これが近いやつだ』と過去実績を探してきたわけです。それに対して、CADDi Drawerを使うと、自分の記憶にないものもどこからか引っ張り出してこられる。要望に対して、より近い過去の実績情報が引っ張り出せるというところが大きかった」

 

いくつかの展示会で他社の図面などの知見を検索できるプロダクトを比較検討していた出口氏の目に、CADDiは明らかに異なって映った。

 

出口氏「図番や名称を絞り込んで検索するプロダクトはその当時もありましたが、過去のデータをただ呼び出すだけでなく、図面のどこかに明記されているキーワードで検索しても我々が本当に欲しいものを呼び出せる。そこが他社とは違うなと感じました」

 

まだ導入事例も少なく、戦略的にも大きな投資。しかし、長年培われた経験と課題意識から、出口氏はCADDiの価値を確信。経営層への直接の働きかけを経て、導入の決断に至った。

「これは他社と違う」導入決断の裏側にあった、ベテランの慧眼

国境を越えたDX推進。日本をリードしたのは、ベトナムの設計部隊だった

導入推進のバトンを受け取ったのは、技術部長の早川氏だ。

 

早川氏「新しいプロダクトを使うのは大変だな、というのが正直な気持ちでした。ただ、新しいことへのワクワク感もありましたし、キャディ社のカスタマーサクセス担当者のサポートも活用できるということだったので、割と前向きに捉えていましたね」

 

実務を担うベトナムの設計部隊が早期にメリットを実感できるよう、早川氏はCADDi Drawerへのデータ投入を急いだ。3D CAD作成図面データだけでなく2D CAD 作成図面データも対象に加え、活用が進んでいないメンバーには個別にリンクを送るなど、地道な働きかけを続けた。

 

すると、予想外の反応が起きた。日本側以上に、ベトナムの設計部隊がCADDi Drawerを積極的に活用し始めたのだ。

 

早川氏「ベトナムのメンバーは、使い方の詳細を指導していないにもかかわらず、渡された簡単なマニュアルだけで積極的に活用し、今ではチームで最も利用されています。彼らからは『このような図面や情報がありますよ』と自発的な提案が寄せられるほどです。」

 

これまで日本側で多くの参考資料を準備し、細かな指示を出していた設計プロセスは様変わりした。最小限の情報共有で、ベトナム側が自律的にCADDi Drawerから類似図面を探し出し、設計を進められるようになったのだ。 4月に現地を訪れた出口氏が「CADDi Drawerなしでは設計できません」という現地の声を聞くほど、アプリケーションは深く浸透。国境を越えた設計連携のあり方を、根本から変革した。

国境を越えたDX推進。日本をリードしたのは、ベトナムの設計部隊だった

“過去の資産”が若手を育てる――文系新卒が3年で戦力化、異例の抜擢を支えたデータ活用術

CADDiの導入効果は、設計現場の業務効率化に留まらなかった。最も象徴的な変化は、営業部門で起きた。

 

従来、同社の営業担当者は、現場と設計で十分な経験を積んだ中堅社員が担うのが通例だった。 しかし、CADDi Drawerという武器を得たことで、文系出身・新卒入社3年目という若手営業担当者が、顧客と一人で対峙できるレベルにまで急成長を遂げたのだ。

 

出口氏「これまでは仕様書が来たときに、営業が設計に聞きに来ていました。それが今では営業だけで過去の類似案件を調べて引っ張ってくることができます。そうするとその時の原価もわかりますし、インフレ率を考慮した価格調整をするといった対応ができるので、見積りも早くなります。いくつかの類似案件を調べられるので、精度も上がるわけです」

 

過去の膨大な図面や暗黙知資産という「巨人の肩に乗る」ことで、若手は驚異的なスピードで知識を吸収し、精度の高い提案を迅速に行えるようになった。これは、5年、10年という単位でキャリアを形成してきた従来の常識を覆す、まさに「異例の即戦力化」だった。

 

この変化は、技術部が案件増に対応する上でも大きな力となった。図面や関連情報検索の時間が削減された直接的な効果に加え、営業部門が自己完結できるようになったことで、技術部は本来の設計業務にさらに集中できる。結果として、人員を大幅に増やすことなく、約1.2倍の案件をこなせる体制が実現した。

“過去の資産”が若手を育てる――文系新卒が3年で戦力化、異例の抜擢を支えたデータ活用術

「次の世代が頑張るんだよ」――ビジョン2035へ、部門の壁を越え“全社の山”を目指す

「経営層からは、効果は分かったから『より大きな全社での成果を頼む』と期待が高まっていますね」

 

経営層からは、プロダクトの効果を事業全体の売上や利益というより大きな「成果」に繋げていくことへの期待が寄せられている。早川氏も出口氏も、CADDi のポテンシャルはまだ発揮しきれていないと感じている。

 

現在の課題は、営業・設計以外の部門、特に製造現場など後工程への活用展開だ。 同社では「ビジョン2035」という長期目標を掲げ、経営戦略室が新設されるなど、部門の壁を越えて全社最適を図る機運が高まっている。

 

早川氏「みんなが目指す山が異なっていては駄目なので、一つの山を目指して進んでいけるように考え方を合わせましょうという話がありました。部署間の壁というところも見直しながら、みんながハッピーになるようなことを考えていかないといけないなと思っています」

 

ベテランの知見を、国境や部門、世代を越えて共有可能な資産へと昇華させたエバ工業。その挑戦は、技術継承とグローバル化という課題に直面する日本の製造業にとって、組織の未来を拓くための確かな道筋を示している。

「次の世代が頑張るんだよ」――ビジョン2035へ、部門の壁を越え“全社の山”を目指す
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