一品一様の受注生産が事業の核であり競争力の源泉でもあるエバ工業。その強みの一方で、技術部には長年の課題が存在した。都度発生する設計業務において、過去の類似図面を探し出す業務は、個々の設計者が持つ「記憶」に大きく依存していたのだ。そこで、導入検討を始めたのが、製造業AIデータプラットフォームCADDiおよび、そのアプリケーションである製造業データ活用クラウド CADDi Drawerである。
技術部門に長く携わり、現在はエグゼクティブアドバイザーとして後進の指導にあたる出口氏は、当時の状況をこう振り返る。
出口氏「これまでは、設計者の過去の記憶の中で『これが近いやつだ』と過去実績を探してきたわけです。それに対して、CADDi Drawerを使うと、自分の記憶にないものもどこからか引っ張り出してこられる。要望に対して、より近い過去の実績情報が引っ張り出せるというところが大きかった」
いくつかの展示会で他社の図面などの知見を検索できるプロダクトを比較検討していた出口氏の目に、CADDiは明らかに異なって映った。
出口氏「図番や名称を絞り込んで検索するプロダクトはその当時もありましたが、過去のデータをただ呼び出すだけでなく、図面のどこかに明記されているキーワードで検索しても我々が本当に欲しいものを呼び出せる。そこが他社とは違うなと感じました」
まだ導入事例も少なく、戦略的にも大きな投資。しかし、長年培われた経験と課題意識から、出口氏はCADDiの価値を確信。経営層への直接の働きかけを経て、導入の決断に至った。