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蒸着加工とは?蒸着の効果やコストについて徹底解説!

蒸着加工は聞いたことはあるけど実際にどのように加工されているのかやどのような効果をもたらすことができるのかということを紹介します。

日常生活の中でもよく使われるものに蒸着加工されているものもあります。

例えば普段使っている携帯電話やCDやDVD、また化粧品の容器などにも蒸着加工されているのです。大きなものになるとオーディオ機器などにも蒸着加工が施されています。

今回は、蒸着加工の意味や、蒸着加工の種類、蒸着の効果・コストについて徹底解説します!

これだけは知っておくべき蒸着加工のポイント

  • 蒸着とは製品の耐久性を上げるために用いられる加工技術のひとつである
  • 蒸着とは物質を蒸発させて表面に薄膜のコーティングをする技術である
  • 蒸着には複数の種類があり、製品に適した加工方法を変えることが必要
  • 真空蒸着は、汎用性が高く安定した品質・低コストで加工できる

蒸着とは素材表面をコーティングする際に用いられる加工方法

蒸着とは物体を蒸発させて、その蒸着した物体を薄い膜にして製品の表面に付着させる加工になります。製品に付着させることによって、製品に様々な効果を付加することができるのです。

物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)の2種類がある

蒸着には物理蒸着と化学蒸着の2種類があり、どちらも蒸着加工なのですが、製品に適した蒸着方法を選択する必要があります。その方法や活用される製品についてご説明します。

物理蒸着(PVD)

物理蒸着は、物理反応を利用して行う加工方法です。蒸着させる材料を加熱して気化させて行います。物理蒸着を施している製品は、アルミを蒸着して作られるCDやDVDの裏面の記録面側の加工や、カッターなどの工具に活用されています。

より多くの製品に用いられている、「真空蒸着」はこの物理蒸着に分類されます。真空蒸着は「真空」という名の通り、蒸着させる材料を加熱させる際、真空状態にして気化させることを指します。

化学蒸着(CVD)

化学蒸着は、化学反応を利用して行います。蒸着するもの(素材元)を気化させて、反応ガスと混合することによって、反応室内に充填させます。このときヒーターにより熱された製品にガスが接触すると、製品表面にコーティングが施されるという仕組みです。耐久性や繊細な加工が求められる半導体の製造や合金などの蒸着でよく用いられます。

また、化学蒸着は電圧をかけてガスをプラズマ化して行う方法も開発されており、より金属への密着性を高める蒸着方法として、期待が高まっています。

蒸着加工と間違いやすい加工方法

間違いやすい蒸着加工として挙げられるのが、「イオンプレーティング」と「スパッタリング」です。これら2種類の加工技術を詳しく見ていきましょう。

イオンプレーティング

イオンプレーティングは、蒸着加工の物理蒸着(PVD)の一種ですが、今回紹介している蒸着加工とは異なる加工法です。蒸着加工と違う点は製品に電圧を加えて気化した金属をイオン化(プラズマ化ともいう)させ、蒸着する工程です。プラスの電気を帯びさせて、製品にマイナスの電気を加えて蒸発した粒子を堆積させて薄膜のコーティングをする工程となります。発生させた磁力によって粒子同士が密着する為、蒸着加工に比べてより密着性が高いコーティングができます。

イオンプレーティングは、下記のスパッタリングや真空蒸着と全く異なる加工技術なので、これら2つと混同しないようにしましょう。イオンプレーティングに適しているのは、チタンやクロムをコーティングする際に用いられる加工です。

スパッタリング

スパッタリングは、真空蒸着と同様に物理的薄膜形成技術(PVD)のひとつです。蒸着加工と共通点があるので混同しがちですが、しっかり用途に応じた成膜方法を選択しなければいけません。

蒸着は真空中で膜にしたい材料を蒸発させて蒸気を蓄積させて膜を形成するのに対し、スパッタリングは電気を通してイオン化した材料成分を直接素材にぶつけて膜を形成する加工方法です。

スパッタリングに、製品に不活性ガスを導入し、高電圧をかけ以下で説明するグロー放電を発生させる工程があります。グロー放電を発生させると、プラズマ化された不活性ガス原子を製品に高速で噴射させることによりできる、コーティングです。

グロー放電とは、冷却極管(加熱用エネルギーを必要としない電子管など)の電流密度とガス圧が低い時の発光(グロー)のことです。

なお、不活性ガスはほとんどがアルゴンガス(通称Arガス)です。このアルゴンガスは無色無臭無味で危険物質ではないので安全です。また、金属を腐食させないため全ての金属に使用可能です。

真空蒸着のメリット

真空蒸着は、アルミに通電し発生する電子ビームや熱で材料を蒸発させ、蒸気の蓄積で膜を形成することによって様々な製品にメッキ加工を施す加工技術です。一般的な真空蒸着では、機械に製品を入れ、機械内部を真空状態にして中央の製品を回転させながらメッキ加工をします。回転させることによって、製品に均一なコーディングができるのです。

ここからは、真空蒸着の

  • 気化しやすい
  • 薄膜の質が高い
  • 金属、非金属両方に対応可能
  • 酸やアルカリの素材にダメージを与えにくい
  • 加工コストがかからない

という5つのメリットについて順にご説明します。

気化しやすい

金属は沸点が高いので気化させるのに時間が掛かります。しかし真空状態で金属を加熱すると通常で加熱する際の沸点より低い沸点になります。その性質を利用した真空蒸着は、沸点が低い状態で気化できるのです。沸点が低く気化しやすいので時間と手間が省けるのでメリットと言えます。

薄膜の質が高い

真空蒸着は、加熱して気化した分子がイオンプレーティングやスパッタリングの分子と比べてはるかに細かいので、薄膜でコーティングができます。そして、分子が細かいので薄膜のコーティングを形成することができます。蒸着は分子が細かくなる程、コーティングのムラが少なく、はがれにくいことから真空蒸着は、薄膜の質が高いというメリットがあります。

金属と非金属に対応できる

真空蒸着は金属と非金属に対応できるため、幅広い製品が真空蒸着によってコーティングされています。幅広い製品が真空蒸着を用いられている理由は、イオンプレーティングやスパッタリングではコーティングできない製品もコーティングできるため、汎用性が高いからです。例えば、金属全般やガラスや樹脂などの非金属に対応できます。

酸やアルカリに弱い素材にダメージを与えにくい

蒸着加工をする際、鉄などの酸やアルカリに弱い素材は、加工時に製作物そのものにダメージを与える可能性があります。ですが、真空蒸着は酸やアルカリから素材を守ってくれるので、このような素材にも適しているのです。

加工コストがかからない

イオンプレーティングは高圧電源を使用し、スパッタリングでは真空ポンプを稼働させる必要があるため、現場で活用させるとすると高額なコストがかかってしまいます。

これらに対して真空蒸着は高コストの機器を使用しないので、加工コストがかからない点がメリットのひとつです。

真空蒸着のデメリット

真空蒸着のデメリットもご紹介します。

真空にする装置が必要になる為場合によってはコストが掛かりすぎる

他社に依頼する場合は装置が必要ありませんが、自分で加工しようとすると真空にする装置が必要になってきます。

その場合はコストがかかり過ぎてしまうので、他社へ依頼した方がコストを抑えることができます。

不純物が混じりやすい

蒸着はコーティングしたい材料を、蒸発させて気体を被加工物の表面に蓄積させることでコーティングを行います。

蒸発させる為にヒーターを使うのですが、蒸発させる工程で不純物が混ざりやすいというデメリットがあります。

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