ガンドリルとは?ガンドリルの特徴と可能な加工材質を紹介!
生産 / 製造
ガンドリルは小径で深い穴や、貫通穴の加工を得意とする機械です。ステップフィードが必要ないため、加工時間を短縮できます。精度と面粗度、直進性にも優れ、様々な穴径に対応できるため、要望する仕上がりを得ることが可能です。
ここだけは知っておきたいガンドリルのポイント!
- ガンドリル加工とは径に対して5倍以上の深さの深穴加工のこと
- 小径穴の材料に高精度の深穴を加工する事が可能
- ガンドリル加工は直進性に優れていて、アルミや樹脂から高硬度材まで幅広い材料の加工が可能
ガンドリルとは軽に対して5倍以上の深さの深穴加工のこと
ガンドリル加工とは、主に金属や鋼に対しての深穴加工のことです。ガンドリル加工は、もともと小銃や猟銃などの穴を開けるために開発されたのが始まりといわれています。深穴加工とは、径に対して5倍以上の深さの加工を意味します。条件にもよりますが、ガンドリル加工は穴径の100倍まで可能です。
深穴加工を通常のドリルで行うと、切くずが加工する穴に溜まり続けるため加工対象の材料と加工道具のドリルを傷つける危険性があります。しかし、ガンドリル加工は深穴加工と同時に切削油を噴出して切くずをドリルの外溝から排出することで深穴加工を可能にしています。
ガンドリル加工の注意点は、対象とする材料、穴径、深さによってガンドリル形状、回転速度、送り速度(ドリルを加工物方向に送る速度、切削速度)などの加工条件を細かく設定する必要があることです。
ガンドリルの特徴とは
ガンドリルとは、どのような加工方法かということを紹介しました。
続いてガンドリルの特徴について紹介します。
高精度の深穴
ガンドリル加工の精度は、加工条件と加工対象材料によって異なりますが非常に高いです。精度が高い上に加工時間が非常に早い為、短い納期に対応できます。
穴径公差は、IT公差等級でIT8~11を示します。これは基準寸法が3mm以下の加工であれば公差をμm以下で加工できることを意味し、公差クラスH7~H9の加工ができます。
工具の再研削が容易
ガンドリルの再研磨は容易です。ガンドリル専用の研磨機が存在するため、安全に簡単な操作で再研磨ができます。そのため、ガンドリルを長く使用できランニングコストを抑えたり、専用の加工会社に依頼することによる待ち時間を短縮可能です。
また加工は金属だけではなく、非金属にも加工できるので幅広い素材への対応が可能です。
小径穴(φ3~φ30)に対応可能
先端の刃径の大きさを変更することで様々な穴径の加工ができます。
特に小径穴に対応できる上に、高精度で加工することができるのが特徴です。
直進性が高い
ガンドリル加工は芯ずれ精度に優れるため、直進性が高いです。芯ずれ精度は、50cmの深さ加工でも0.3mm以下です。15cm以下の深さ加工では0.01mm以下の芯ずれ精度で加工できます。
ガンドリルの可能な可能な深さ
ガンドリル加工は芯ズレ精度に優れるため直進性が良く、高アスペクト比の加工が可能です。
ガンドリル加工が可能の素材・材質
ガンドリル加工は様々な素材に対して加工可能です。鉄やアルミに限らず、高硬度鋼や樹脂なども深穴加工できます。
主な加工対象は以下です。
- 構造用鋼
- 窒化鋼
- 工具鋼
- ステンレス
- 耐熱鋼
- 鋳鉄
高硬度材
ブリネル硬さ(HV)が270~450の高硬度材のものからステンレス鋼、 耐熱鋼など加工が困難といわれる材料でも加工が可能です。例えば鋼種でいうとクロムモリブデン鋼や機械構造用炭素鋼、クロム鋼材などの深穴加工に対応しています。
主な加工対象は以下です。
- SS(一般構造用圧延鋼材)
- S45C(機械構造用炭素鋼)
- SCM415(クロムモリブデン鋼)
ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレスのSUS304、耐食性に優れ強度の高いSUS630などの加工が可能です。
主な加工対象は以下です。
- SUS405
- SUS430
- SUS304
- SUS316
- SUS630