ZAMとは? 耐食性・コスト・加工性に優れたメッキ鋼板の基礎情報
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これだけは押さえておきたいZAMの基礎知識のポイント
- 日新製鋼株式会社が開発した溶融亜鉛合金メッキ鋼板の商品名
- 「高耐食性」、「コストダウン」、「優れた加工性」をもつ
非常に優れた耐食性を持つメッキ鋼板のZAM
ZAM鋼板とは日新製鋼株式会社が開発した溶融亜鉛合金メッキ鋼板の商品名であり、亜鉛(Zn)-6%、アルミニウム(Al)-6%、マグネシウム(Mg)-3%のメッキ層を持つことから頭文字をとってZAM鋼板と名付けられています。(製品特許及び製造特許登録済)
後退色溶融メッキ鋼板とも呼ばれることからほとんど錆びないともいわれるほど耐食性が優れている材料です。溶融亜鉛メッキ鋼板や溶融亜鉛(Zn)-5%にアルミニウム(Al)を加えた合金メッキであるガルタイトに似ていますが、より耐食性が良い点などZAM鋼板が優れている点は多くあります。耐食性の他、プレス成形性やプレス加工性に優れており、またコストダウンの実現なども可能です。
ZAM鋼板のもつ高耐食性や加工性に加えて塗装密着性や低光沢、黒色外観の性能を加えたZAM Plusも日新製鋼株式会社から販売されています。
ZAMの3つの特徴
ZAM鋼板の特徴というと「高耐食性」、「コストダウン」、「優れた加工性」が挙げられます。
ZAMは他の材料にメッキを施した場合よりもこれらの性質に優れています。
高い耐食性
特に耐食性は溶融亜鉛メッキ鋼板に比べ10~20倍、溶融亜鉛-5%アルミニウムメッキ鋼板(ガルタイト)に比べ5~8倍優れています。
溶融亜鉛メッキ鋼板では時間経過とともに酸化亜鉛主体の白錆が増えていき、鋼板まで届くと赤錆も生じますが、ZAM鋼板ではマグネシウム(Mg)を含む亜鉛(Zn)、亜鉛(Zn)-アルミニウム(Al)系保護被膜がZAMメッキ層、鋼板を覆うため優れた耐食性を示します。また、通常のメッキで注意が必要な切断後の端面部でもメッキ層から溶け出したアルミニウム(Al)マグネシウム(Mg)を含む亜鉛系保護被膜が端面部を覆うことによって優れた耐食性を示します。
低コスト
コストダウンを実現できる理由はZAM鋼板を利用した製品の生産工程にあります。通常メッキが必要な鋼板は材料から製品の形を加工、成形した後にメッキ処理を施します。しかしZAM鋼板を用いた製品では事前に溶融亜鉛合金メッキ処理が施された材料を加工し、成形するため成形後のメッキ処理工程が不要です。そのためイニシャルコストの低減を実現し、また耐食性に優れていることからライフサイクルコストの低減も実現できます。
目安で1kgで160円と、同じく耐食性に優れているステンレスよりも半分以下の価格です。
優れたプレス加工性
プレス加工性については、溶融亜鉛メッキに比べメッキ層が硬く、平滑であるためプレス加工性が優れ成形性だけでなく、生産効率も向上します。
絞り加工についても、加工割れが発生しづらく、フランジ残量も少なく、絞り成型性に優れています。
用途・選定のポイント
溶融亜鉛など、メッキが必要な材料の使用を検討しているときにはZAMも考慮に加えることでコストダウンなどZAMの特性が生かされる可能性があります。
ただし、水中や頻繁に流水にさらされる用途では保護被膜が形成されにくくなり、亜鉛メッキに対するZAMの優位性が生かされない可能性があります。
他の鉄鋼材料との比較
特に他の亜鉛メッキ鋼板(SECC、SGCC)と比較すると顕著ですが、やはりコストと耐食性に優れた規格といえます。
規格 | 強度 | 価格 (¥/kg) | 焼入れ効果 | 溶接性 | 耐食性 |
ZAM | △ | 160 | × | × | ◎ |
SECC | △ | 150 | × | 〇 | 〇 |
SGCC | △ | 150 | × | × | 〇 |
SS400 | 〇 | 115 | × | 〇 | × |
S45C | 〇 | 300 | 〇 | × | × |
SPCC | △ | 130 | × | △ | × |
SPHC | △ | 100 | △ | 〇 | × |