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SPHCとは? 基礎知識やSPCCやSS400との違い

これだけは知っておきたいSPHCの基礎知識

  • SPHCは加工性がよく、汎用的な熱間圧延鋼板
  • 平板や曲げ加工を施す程度の簡単なものによく使われる
  • 他の材質に比べ、強度の保証はないものの、非常に安価

SPHCは熱間圧延鋼板の汎用材

SPHCは4種類ある熱間圧延鋼板(SPH)のうち一般用途規定されている材料で、炭素量がもっとも多い板材です。

Steel Plate Hot Commercial(熱間圧延軟鋼板)の頭文字で文字通り炭素量が少なく、強度については細かい規定はなく、この鋼板は強度が求められるような用途には向かない材料です。

スラブを加熱してから引き延ばすことで製造され、熱間での圧延工程のあとはSPHCの表面に黒皮という黒い酸化皮膜で覆われているおり、そのままのSPHCは黒皮材と呼ばれます。

非常に加工性が良く、塗装がしやすいことが特徴ですが、とても錆びやすいためメッキや塗装は必須です。

SPHCの生産方法とそれを酸洗してできるSPHC-P

SPHCの製造方法は石灰石、鉄鉱石、コークスから作られたスラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機と仕上げ圧延機を用いて連続で長く圧延して製造します。通常、運搬しやすいようにコイル状に巻き取っています。

その後酸洗い機で酸洗いをし、黒皮を取り除き、油膜を施したものをSPHC-P (サンセン) と言います。

SPHC-Pは酸洗いを施していることからサンセン(酸洗)と呼ばれます。

SPHCの用途

主に、平板や簡単な曲げ加工を施す程度のものに用いられます。

具体的には、自動車、電気機器や自動車のボディなどにもよく使われます。

SPHC-PやSS400など他の鉄鋼材料との違い

SPHCは強度保証がありませんが、その分ほかの鉄鋼材料に比べ非常に安価です。

エレベーターの材料費削減のために、本来ならSS400を使うべきところでSPHCを用いたことによって強度不足でエレベーターが破損するといった事故が起きたこともあります。

そのため前述の通り、強度が必要な場面での使用は避けるべきです。しかしそれ以外の用途であれば安価であるため比較的選択しやすい規格と言えます。

規格 強度 価格 (¥/kg) 焼入れ効果 溶接性 耐食性
SPHC 100 ×
SS400 115 × ×
S45C 300 × ×
SPCC 130 × ×
SECC 150 ×
SGCC 150 × ×
ZAM 160 × ×

SPHC-P(サンセン)との違い

上記でも示している通り、熱間圧延をしてそのままの状態なのがSPHC(黒皮材)、そのSPHCを酸洗して黒皮を取り除いたのがSPHC-P(サンセン)です。違いとしてはまずその見た目です。黒皮に覆われているSPHC(黒皮材)はその名の通り黒く、触ると手が黒くなります。黒皮を取り除いたSPHC-P(サンセン)の表面色は灰色です。また、SPHC(黒皮材)は酸化皮膜に覆われているためある程度の防錆効果はありますが、SPHC-P(サンセン)は油膜に覆われているものの防錆効果はほとんどありません。そのため、塗装、またはメッキは必須になります。用途としてはSPHC(黒皮材)は機械内部の部品等に使われることが多く、SPHC-P(サンセン)はカバーやブラケットなど塗装を施して外観に用いることが多いです。

SS400との違い

SPHC-PとSS400は共に鉄を主とした板材であり、代表的な鉄鋼の規格材料と言えます。この2つは共に熱間圧延鋼板とよばれますが、製造工程は違います。SPHC-Pはスラグから製造されたSPHC(熱間圧延鋼板)に酸洗いを施して製造しますが、SS400はキルド鋼から製造されています。SS400のSSとはSteel Structureの略で一般構造用の鉄鋼材のことを言います。SSの後の400というのは保証された最低の引張り強さが400MPa(N/mm)であることを示しています。SS400は一般構造用圧鋼板であることからSPHC-Pに比べ板厚が厚い規格が多く、薄板はSPHC-Pの使用が一般的となります。用途としては特に曲げ加工などの板金加工のみの加工ではSPHC-P、機械加工が必要なものはSS400が使用されますが、板金加工のみの加工でも板厚が厚くなるとSS400が使用されることもあります。

SPCCとの違い

SPHC-Pは再結晶温度以上で加工しているのに対してSPCCは再結晶温度以下で加工しています。再結晶とは加工によって生じた歪みや欠陥が解消されることを言います。そのため再結晶後の組織は均質な安定した組織になります。この再結晶が始まる温度を再結晶温度といい、SPHC-Pは再結晶が起こっている状態での加工であり加工硬化は生じていないため加工しやすく、量産に適しています。加工性が良い一方で、表面の精度は粗くぼこぼことした手触りになっており、薄板の生産も難しくなっております。SPCCは再結晶が起こっていない状態での加工のため加工硬化は常に生じており加工にはより大きな力を要します。一方で、加工硬化が生じていることから材料は硬くなり、また温度変化を行わないため加工精度は高く、よりつるつるした表面になっています。

このようにSPCCはSPHCに一工程加える必要があるためかかるコストは大きくなりますが、表面の精度や薄板の加工も可能であるというメリットがあります。これらの点を踏まえた上で使用場所などの用途に応じて選定する必要があります。

SPHCの性質

化学的性質

炭素量が少ないことが特徴の一つです。

C Mn P S
0.15%以下 0.60%以下 0.050%以下 0.050%以下

比重

比重は他の鉄材料と同じく7.85です。

機械的性質

比較的強度は小さいといえます。

板厚 引張り強さ 伸び
1.2 ~ 1.6mm 270 N/mm^2 27%

 

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