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SKD11について紹介!基本的な知識・特徴をチェック!

耐摩耗性に優れ安全度の高いSDK11という合金工具鋼があるのをご存知ですか?SKD11は、腐敗度合いがしっかり検査されている合金工具鋼です。今回は、SKD11がなぜ耐摩耗性に優れ、安全度が高いのかその性質と特徴について詳しく説明していきます。

これだけは知っておきたいSKD11のポイント!

  • 耐摩耗性に優れた合金工具鋼の一種
  • 安全性の高さが期待できる材質
  • SDK11は3つの腐食試験で腐食度合いが検査されている素材

耐摩耗性に優れた合金工具鋼の一種「SKD11」とは

SKD11とは、JIS規格で指定された耐摩耗性が優れている合金工具鋼の種類のひとつです。炭素工具鋼の中にバナジウム・モリブデン・タングステン・クロムが含有されています。

合金工具の用途は、切削工具鋼用・耐衝撃工具鋼用・熱間金型用・冷間金型用の4種類があります。その中でもSKD11は、冷間金型用の合金用具鋼の用途として多用されます。”SK”の記号の合金工具鋼は、32種類あります。SKD11と同様に冷間金型用の記号は10種類あります。

安全度の高い素材であるSKD11の特徴とは

SKD11は、使用用途が広い合金工具鋼で金型の材料に多く使用されることがあります。そんなSKD11の特徴は、高い硬度と摩耗に耐える力が強い点です。これは、SKD11が精度や品質・面精度のバランスがよく、安定度の高い素材であるためです。では、SKD11の特徴である「高硬度」と「耐摩耗性」について詳しくみていきましょう。

熱間の強度があるため高硬度に期待できる

SDK11は、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)などの合金元素を多く含んでいるので、熱間の強度が強い特徴があります。また、密度も7.80g/cm3もあります。そのため、硬度の高さが期待できます。

元素バランスがよく変形が少ない耐摩耗性のある素材

SKD11は、炭素(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)の元素をバランスよく含んでいます。そのため、摩擦の力にも強いので、耐摩耗性があります。また、焼入れ後の変形が少なく、耐摩耗性の大きい鋼種です。

高クロム系の鋼材「SKD11」の使い方

SKD11は、高い高度があるのでプレスの金型やゲージに使われます。大きいサイズであっても、空冷で焼入れ硬化が可能です。これは、SKD11が、高炭素で高クロム系の鋼材であるためです。

後入れ後の変形が少ない冷間金型用の合金工具鋼

SDK11は、冷間金型用として使用される合金工具鋼です。冷間金型は、焼入れ後の変形が少ない特徴があり、摩擦に対する耐久性の高さが特徴のひとつです。

SKD11の性質

◼︎物理的性質

一般的に「鉄」としてよく用いられるSS400と比べると、密度、磁性はほとんど値が変わりません。しかしSS400には含まれていないモリブデンにより、SS400の熱伝導率が57~60W/mKなのに対し、SKD11は26.1と、熱の影響を受けにくい材質となっています。

密度
g/cm3
熱伝導率
W/mK
平均熱膨張係数
×10-6(/℃)(20~100℃ )
縦弾性係数
GPa
ポアソン比 比透磁率
μ
SKD11 7.8 26.1 12 207 磁性あり

◼︎化学的性質

先述の通り、SKD11はバナジウム・モリブデン・タングステン・クロムを含有した合金鋼です。これらの成分を添加することにより、耐摩耗性や焼入れ性は向上しますが、一方で使用する成分が多い分、価格が割高となっています。

成分 C Si Mn P S Cr Mo V Fe
規格 1.40-1.60 ≤0.40 ≤0.60 ≤0.030 ≤0.030 11.00-13.00 0.80-1.20 0.20-0.50 Bal.

SKD11の化学処理の例

SKD11は、焼きなましと焼入焼戻しの化学処理が施されています。焼きなましは、830℃〜880℃の温度で255HBW以下の硬度で処理が行われます。熱処理は、1030空冷で焼入れが行われ180空冷で焼戻しが行われ、硬度は58以下となっています。

◼︎焼なましの温度と硬度

焼なまし温度(℃)
焼なまし硬度(HBW)
SKD11 830〜880除冷 255以下

◼︎焼入焼戻し熱処理温度と硬度

熱処理
焼入焼戻し硬度
焼入れ 焼戻し
SKD11 1030空冷 180空冷 58以上

3つの試験を経て証明されるSKD11の耐食性

SKD11の耐食性は、「塩酸腐食試験」「硫酸腐食試験」「硝酸腐食試験」の3つの試験が行われます。塩酸・硫酸・硝酸で試験を行うことで、試験前後の金属の重量の変化と腐食度合いを調べます。

塩酸溶液で腐敗の度合いを検査する「塩酸腐食試験」

5%の塩酸溶液によって腐食試験を行います。

塩酸腐食試験の方法は、下記の通りです。

(試験方法)

試験溶液
36%塩酸を純水にて希釈。5%の塩酸溶液に調整。
試験片
各材質の各熱処理条件にて作成。表面のあらさを耐水研磨紙で#400に調整し、アセトンで脱脂処理。

各材質を5%の塩酸溶液に24時間室温で浸けます。その後、精密天秤で試験前後の重要変化を測定し、腐食の度合いをだす。

◼︎SKD11の試験片

硬度HV 熱処理条件
601.3
焼入・焼もどし
(1030℃×3hr/ガス冷、510℃×7hr/ガス冷、510℃×6hr/ガス冷)

◼︎SKD11の試験結果

腐食減量(mg/m2・hr) 硬度HV
5729.002449 601.3

硫酸溶液で腐敗の度合いを検査する「硫酸腐食試験」

5%の硫酸溶液によって腐食試験を行います。

硫酸腐食試験の方法は、下記の通りです。

(試験方法)

試験溶液
98%硝酸を純水にて希釈。5%の塩酸溶液に調整。
試験片
各材質の各熱処理条件にて作成。表面のあらさを耐水研磨紙で#400に調整し、アセトンで脱脂処理。

各材質を5%の塩酸溶液に24時間室温で浸けます。その後、精密天秤で試験前後の重要変化を測定し、腐食の度合いをだす。

◼︎SKD11の試験片

硬度HV 熱処理条件
601.3
焼入・焼戻し
(1030℃×3hr/ガス冷、510℃×7hr/ガス冷、510℃×6hr/ガス冷

◼︎SKD11の試験結果

腐食減量(mg/m2・hr) 硬度HV
18382.92478 601.3

硝酸の溶液で腐敗具合を試験する「硝酸腐食試験」

5%の硝酸溶液によって腐食試験を行います。

塩酸腐食試験の方法は、下記の通りです。

(試験方法)

試験溶液
60%濃硝酸を純水にて希釈。5%の塩酸溶液に調整。
試験片
各材質の各熱処理条件にて作成。表面のあらさを耐水研磨紙で#400に調整し、アセトンで脱脂処理。

各材質を5%の塩酸溶液に24時間室温で浸けます。その後、精密天秤で試験前後の重要変化を測定し、腐食の度合いをだす。

◼︎SKD11の試験片

硬度HV 熱処理条件
601.3
焼入・焼もどし
(1030℃×3hr/ガス冷、510℃×7hr/ガス冷、510℃×6hr/ガス冷)

◼︎SKD11の試験結果

腐食減量(mg/m2・hr) 硬度HV
18305.7662 601.3

耐摩耗性に優れ高硬度の合金工具網

合金工具鋼の一種であるSDK11は、耐摩耗性に優れた特徴があります。また、元素バランスが良いこともあり、高硬度も期待できる素材です。

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