POMとは?POMの長所や短所について紹介
すべての職種
POMは、熱可塑性プラスチックのグループに分類されている材料で、耐熱性が高いなどPOMを使用することで、高い効果を発揮する製品もあります。特徴に長所と短所があるため、どのような性能か理解することで、知識をより深めることが可能です。今回、基本的な情報を含めて紹介します。POMについて知りたい方は、参考にしてみてください。
これだけは知っておくべきPOMのポイント
- POMにはグレードがあり、一般のレベルでは使用できない用途に合わせて利用することができる性能の高さがある。
- POMは、優れた耐摩耗性を持っていますが、耐候性が低いなどの短所もあるので、利用するとき注意が必要。
- POMは、エンジニアプラスチックという種類に含まれている中でも、高い性能を持っている。
POMとはポリアセタール樹脂
エンジニアプラスチックという種類でもあるPOMは、一般的なプラスチックより高い強度があります。また、さまざまな耐性を得ているため、一般的な熱に対して劣化しやすいプラスチックの問題を解決しており、軽量なメリットも合わせて、幅広く利用することが可能です。金属と近い硬度と弱点を補う耐性があるので、取り扱っている加工会社が多くいます。
POMの性質の中でも特に優れた特徴
耐摩擦性
POMは、エンジニアプラスチックの中でも高い性能を持っているため、幅広い製品で利用されている材料です。多くある性能の中でも摩擦係数が小さく、自己潤滑性を持っているため、特に耐摩擦性が優れています。長い動作を繰り返して、疲労で破損することに抵抗力がある耐疲労性もあるため、製品を長く利用することにも適している材料です。
グレードについて
POMには、性能を向上させたグレードの種類が幅広くあり、用途に合わせて取り扱うことができる汎用性の高さがあるので、グレードにどのような特徴があるのか表で詳しく紹介します。
種類 | グレード | 特徴 |
NW-02LV | 摺動性、低VOCグレード |
負荷や温度に対して、バランスの良い摩擦摩耗性を持っており、表面の硬度が高く、耐摩耗性もあります。
また、物が擦れたりしたときに鳴る音が低いので、音によるストレスを軽減させることも可能です。 |
GH-25LV | ガラス繊維強化、低VOCグレード |
ガラス繊維を強化しているグレードで、強度などを含む機械的性質が向上しています。耐疲労性もあるので、繰り返し同じ運動をする製品に利用するのにも適している素材です。
|
TF-10LV | ガラス繊維強化、低VOCグレード |
衝撃に対する抵抗力や柔軟性を持っている樹脂であり、樹脂クリップという部品を固定させることに利用されるケースが多くあります。
例えば交通で利用される方が多い自動車のパーツなどに使われているグレードです。 |
M90-45LV | 耐候性、低VOCグレード |
POMは、紫外線に晒される状態の場所で利用すると変色などの問題が発生してしまいます。
しかし、M90-45LVは、耐候性が向上しているため、物質の性能が低下してたり、劣化を遅らせることが可能です。 |
MCシリーズ | メタリック調外観、低VOCグレード |
薬品性を持っているため、塗装に対してのダメージを抑えることが可能ですが、施しづらいというデメリットを持っています。
MCシリーズにすることで、塗装をせずにメタリック調の綺麗な見た目へと成形のときの加工で引き出すことが可能です。 |
LU-02LV | 艶消し、低VOCグレード |
POMには、耐候性を持ったグレードの種類が豊富にあります。しかし、艶を消せる性能をLU-02LVは、併せ持っているため、高級感のある製品を生産するときに最適なグレードです。
|
TR-20LV | 高剛性・低反り、低VOCグレード |
無機フィラーを充填させたグレードで、曲げて歪みを抑える剛性に優れています。また、機械的性能も向上しており、他の材料と比較してもレベルが高いです。
|
POMの性能を活かした用途
POMの性能を活かして利用されている用途について紹介します。
コピー機の駆動歯車
書類などコピーを行う際、機材の中では紙を押し出すためのローラーなど、駆動を行うための歯車が多数使われています。この歯車は擦れて摩擦が発生しやすいため、エンジニアプラスチックでも高い耐摩耗性をもつPOMが多く使用されています。
パワースライドドアシステム部品
自動車の窓を開閉するときに利用されているのが、パワースライドシステムで、部品にPOMが使われています。速い速度で走るため、高い強度が必要です。また、同じ動作を行うものなので、耐疲労性も併せ持つPOMの性能を活かしています。
衝撃に強く、熱にも強いPOM
耐衝撃性
ぶつかりあったりすることで起きる外部の力により発生する衝撃に対する性能を持っています。耐衝撃があることにより、物が落ちたりして、壊れてしまう耐性もあるので、丈夫な製品を作り上げることが可能です。
耐熱性
耐えることができる熱の温度は約80度から120度ですが、短い時間であれば連続使用温度約150度まで耐えられる、高い耐熱性を持っています。
耐薬品性
強酸であれば、物質に影響を及ぼしてしまいますが、弱酸に対しては抵抗力を持っています。また、有機溶剤による抵抗力が大きいので、耐性が低い薬品に気を付けることで高い性能を発揮することが可能です。
寸法安定性
吸水性が小さいことにより、物質が熱で膨張するなど環境が違う中で大きな数値の変化が少ないため、寸法の安定性が向上します。
POMは火や、光に弱い!
難燃性
POMの分子構造には、酸素が含まれています。空気中にある酸素によって燃えてしまうため、難燃性が低いので、火を取り扱う場所などでは注意が必要です。
耐候性
耐候性が低い短所を持っていて、紫外線や光などの環境で利用すると物質が変化したり、変色してしまうため、屋外で利用することが難しい材料です。
接着性
接着性が低いため、メッキや塗装を施すのが難しいです。しかし、溶接を行うことは可能なので、使用するとき理解した上で対応する必要があります。
表から見るPOMの機械的、物理的、化学的性質
POMの性質について表にしたものを紹介します。
機械的性質
衝撃に対して、耐えることができる強度を持っている材料で、曲げたとき製品が壊れることを防ぐ剛性もあります。
フィラー(充填材)の種類
|
(POM)ホモポリマー |
(POM)グラスファイバー(GF)20%充填
|
||
機械的性質 |
引張強さ(kgf・mm^-2)
|
7.03 | 5.9〜7.7 | |
最大伸び率(%)
|
25〜75 | 2〜7 | ||
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2)
|
12.7(10%ひずみ) |
12.7(10%ひずみ)
|
||
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2)
|
9.91 | 10.5 | ||
引張弾性率(kgf・mm^-2)
|
365 | 703 | ||
圧縮弾性率(kgf・mm^-2)
|
471 | – | ||
曲げ弾性率(kgf・mm^-2)
|
288 | 618 | ||
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1)
|
7.62 | 4.35 | ||
硬度(硬さ) | ロックウェル | M94、R120 | M75〜90 | |
ショア | – | – |
物理的性質
POMは、結晶性の材料で、高温に対して、耐えることができる耐熱性を持っています。また、吸水性が小さい分、寸法の安定性が高いです。
フィラー(充填材)の種類
|
(POM)ホモポリマー |
POM)グラスファイバー(GF)20%充填
|
||
物理的性質 |
密度(g・cm^-3)
|
1.42 | 1.56 | |
融点(℃) | 結晶性 | 181 | 181 | |
非晶性 | – | – | ||
透明度 | 半透明~不透明 | 不透明 | ||
吸水率(%)3mm、24h
|
0.25 | 0.25〜0.29 |
化学的性質
表から、強酸の場合侵されてしまいますが、有機浴剤やアルカリなど抵抗力を持つ、耐薬品性があります。
フィラー(充填材)の種類
|
(POM)ホモポリマー |
(POM)グラスファイバー(GF)20%充填
|
||
化学的性質、耐薬品性 |
燃焼性、速度(mm・min-1)
|
25.4〜27.9 | 20.3〜25.4 | |
日光の影響 |
わずかにくもる
|
|||
弱酸の影響 | 抵抗 | |||
強酸の影響 | 侵される | |||
弱アルカリの影響
|
少し抵抗 | |||
強アルカリの影響
|
無し | |||
有機溶剤の影響
|
抵抗大 |
まとめ
POMは、一般的なプラスチックの素材と異なり、金属に近い硬度と複数の耐性を持っているエンジニアプラスチックです。汎用性が高いですが、短所もあるため、使用するときには気を付ける必要があります。また、性能を強化したグレードの種類など紹介した情報が役に立つことがあるでしょう。