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SUS410とは?ステンレスとその特徴についても紹介!

SUS410は、錆びにくい特性を持ったステンレス鋼材の一つ。熱処理をするために、調整されています。鉄にCr(クロム)やC(炭素)も含まれているので、加工方法が変わってくるため、SUS410の特徴や性質を知ることで、今後取り扱うことがあったときに、役に立つでしょう。今回、SUS410について、情報をまとめたものを紹介します。

これだけは知っておくべきSUS410のポイント

  • SUS410は、熱処理を行うことができるように調整されたマルテンサイト系のステンレスである。
  • SUS410は、Cr(クロム)を多く含んでいるため、錆を防ぐ特性を持っている。
  • SUS410以外にもステンレスの種類が200以上あるので、他のステンレスとの違いを理解する必要がある。

SUS410とはマルテンサイト系ステンレスのこと

SUS410は、マルテンサイト系に含まれているステンレスです。まず、C(炭素)といった元素が固溶したものをオーステナイトと呼びます。言います。マルテンサイトは、このオーステナイトを急冷して出来た組織です。

鉄鋼の中でも高い硬度がありますが、脆くなりやすいデメリットを持っています。他にもSUS410には、Cr(クロム)が多く含まれるため、錆びにくいメリットもあります。詳しく説明していきましょう。

鉄と酸素が結びつくことによって生じるのが「錆び」と呼ばれる現象です。しかしCr(クロム)は鉄よりも早く酸化するため、物質全体に「酸化クロム」の膜が出来上がります。この膜が酸素を通さなくなるため、錆を防ぐことが可能です。

またSUS410は熱処理を行えるようにしたものですが、熱処理を実施したとき、黒く変色してしまい、脆性が上がってしまう問題が起こる性質ももっています。そのため、「窒化熱処理」という特殊な熱処理を行い、より硬い材質に仕上げることもあります。

SUS410が持つ性能の良さ

200種類を超えたステンレスがある中で、クロムステンレスと呼ばれているものです。SUS410を利用するとき、どのような特徴があるのか知ることで、取り扱いがしやすくなるので、いくつか紹介します。

良好な耐食性

刃物用に利用されることが多く、摩擦に対して抵抗力を持つ420J1(ステンレス鋼鉄)より、耐食性を向上させたものが、SUS410です。鉄は雨などにより錆が発生し、腐食してしまう問題がありますが、SUS410に含まれている元素の中でも、Cr(クロム)の組織量が多いため、錆に対して高い性能を発揮するため、ステンレスを取り扱う製品で、腐食が起きやすいところで使用するのに適しています。

機械加工性

SUS410は、削って加工しやすい被削性が高さがあります。加工の手間をかけずに製品を作れるので、生産性が上がり。また、取り扱いやすいため、汎用性もあります。そのため加工会社の中にはSUS410を利用している方も多いです。

SUS410の特徴を活かした用途

SUS410の特徴を活かした用途について紹介します。

ナイフやフォークなどの食器

身近な例では、ナイフやフォークに使われています。これは、食事のとき、口に運んだり、洗う行為を繰り返すことで、腐食が発生してしまう恐れがありますが、SUS410の耐食性が高いため、長く使っていくのに適しているステンレスだからです。

タッピンねじ

先端が尖っているのが特徴のねじを「タッピンねじ」と言います。鉄板同士を接続させるときなど、多様されているねじであるため、雨風といった環境に晒され、腐食して破損しないように、耐食性を持ったSUS410が使われているケースが多いです。

下に穴を空けてねじ込んでいくので、電動ドライバーを利用することによって、短時間で接続させることができます。

SUS410と他の種類を比較した規格

SUS410などのJISと外国規格を比較

SUS410に元素を添加させたもの等の規格と、外国の規格を比較したものを表にして紹介します。

日本工業規格 国際規格 ISO
15510
外国規格
JIS ISOナンバー 記号 欧州規格 アメリカ 中国
EN UNS (AISI) GB
SUS410L 4030-410-90-X X2Cr12 S11203
SUS410 4006-410-00-I X12Cr13 1.4006 S41000 410 S41010
4024-410-09-E X15Cr13 1.4024
SUS410S 4000-410-08-I X6Cr13 1.4 S41008 S41008
SUS410F2 4642-416-72-J X13CrPb13
SUS410J1 4119-410-92-C X13CrMo13 S45710

性能を強化した他のステンレスとの違い

SUS410と違う規格のステンレスについて紹介します。

SUS430

フェライト系ステンレスに分類される「SUS430」。元素にNi(ニッケル)が含まれていないため、他のステンレスの中でも、低いコストで製作することが可能です。SUS410よりも高いクロム量があるため、より良い耐食性を持っていますが、熱処理を施しても効果が得られないというデメリットを持っています。そのため、強度を求めるところでの使用は適さないステンレスです。

SUS304

SUS304には、高温度と低温度の状態でも、強い強度を保つことができるというメリットがあります。他にも、耐酸性や耐食性など多くの耐性を持っているため、さまざまな環境下でも利用がしやすいです。しかし、加工で力を加えることで、硬化が高くなり過ぎてしまうという点もあるため、加工するとき注意する必要があります。

SUSXM7

SUS304の高い性能に加えて、Cu(銅)を添加することで、冷間加工性の機能を特化させたステンレスが、SUSXM7です。加工性能が上がっているため、使用できる製品も多くなります。

SUS630

SUS630は、固溶化熱処理を施したあとに、特定の元素Cu(銅)を添加して、析出させることによって、人の手を加え硬化させた析出硬化系ステンレスの一つで、耐食性と高強度を持っています。

SUS631

SUS631は、冷間圧延後に析出硬化処理を施すことによって、ステンレスの中でも高い硬度の得られるステンレスです。成形をしやすい利点がありますが、耐食性は高くありません。しかし、全体的に性能が良いため、汎用性は高いです。

性質から分かるSUS410の性能

3種類の性質について表にまとめたものを紹介します。

機械的性質

機械的性質の表から、引張強さが高いことが示されており、製品を伸ばしたりするなどの破壊に対する強度を持っています。また、直角以上曲げることができる剛性の高さを持っている材料です。

ステンレス鋼材の種類 耐力N/mm2 引張強さN/mm2 伸び % 硬さ 曲げ性
HBW HRBS又はHRBW HV 曲げ角度 内側半径
SUS410 205以上 440以上 20以上 201以下 93以下 210以下 180° 厚さの1.0倍

物理的性質

物理的性質の熱伝導率から、100度よりも500度の方が材料全体に熱が行き渡る速度が高いです。他のステンレスより、比較的耐熱性が良いので、加工性にも優れています。

鋼種記号 ヤング率
KN/mm2
密度
(g/cm3)
比熱
J/g・℃
熱伝導率
W/m・℃
比電気抵抗
Ωm(10-8)
平均熱膨張係数
(10-6/℃)
室温 室温 0-100℃ 100℃ 500℃ 室温 650℃ 0-100℃ 0-316℃ 0-538℃ 0-649℃ 0-816℃
SUS410 200 7.75 0.46 24.9 25.7 57 109 9.9 10.1 11.5 11.7

化学的性質

化学的性質からSUS410の成分で、Cr(クロム)が多いことが分かります。Cr(クロム)が含まれていることにより、金属に発生する錆びを防ぐ効果がある耐食性を持つSUS410。ステンレスの中でもCr(クロム)が多く、耐食性に優れています。

ステンレス鋼材の種類 C Si Mn P S Cr
SUS410 0.15以下 0.50以下 1.00以下 0.040以下 0.030以下
11.50~13.00

まとめ

マルテンサイト系ステンレスに分類されているSUS410。錆を防ぐ耐食性や、加工性が高いという特徴があります。他にも、特徴を活かした使いどころや、規格との違いにつきまして、紹介しました。ステンレスの種類が多くあるので、ステンレスの一つであるSUS410について詳しく知り、今後取り扱うときに、紹介した情報が役に立つでしょう。

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