A7075(超々ジュラルミン)の特徴、比較、性質について解説
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A7075は超々ジュラルミンとも呼ばれる
A7075は「超々ジュラルミン」と一般的に呼ばれており、亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)のアルミニウム合金です。
A7075の特徴として、アルミニウムの中で最も強度が強いこと、鉄鋼材料に対して3分の1の軽さであることが挙げらます。一方で、応力腐食割れや耐食性について劣っている一面もあります。そのため、使用環境に留意する必要があります。このような特徴があるため、かつては日本海軍の零式艦上戦闘機に使用されていました。
また現在では、市販性もよくなったことから様々な工業製品に使われています。
A7075の強度・硬度について
A7075の特徴として最も有名なのが、強度・硬度です。以下の表ではアルミの代表格でもあるA5052とA2017と比較しています。
引張り強さ(N/mm^2) | 降伏点(N/mm^2) | 硬度(HBW) | |
A7075 | 570 | 505 | 150 |
A5052 | 260 | 215 | 68 |
A2017 | 570 | 505 | 150 |
A7075の耐食性について
一般的にアルミは酸素と結びつきやすいため、表面に酸化被膜を作ります。その結果、金属が酸化せず耐食性が高いです。対してA7075は1.2〜2.0%の銅を添加しているため、耐食性が低い性質を持っています。
A7075と他のアルミニウム材料との違い
A5052、A2024との違い
ここでは、アルミニウム合金の中で最も一般的なA5052と、ジュラルミンとして一般的認知度の高いA2024について、A7075の比較を行なっていきます。
A5052の特徴としては、耐食性が良い、溶接性が良いという特徴と中程度の強さという特徴があります。一方で、A7075は上でも述べたように強度・硬度が非常に高い、耐食性が低いという特徴を持っています。
そのため、耐食性や溶接性が求められる製品にはA5052が、強度・硬度が求められる製品にはA7075が適しています。
強度・硬度 | 耐食性 | 溶接性 | |
A7075 | ◎ | × | × |
A5052 | △ | ◯ | ◯ |
A7075とA2024の違い
A7075は「超々ジュラルミン」、A2024は「超ジュラルミン」と言われ、どちらとも非常に高い強度持っています。具体的な数値としては、A7075の降伏点が505(N/mm^2)、引張り強さが570(N/mm^2)で、A2024の降伏点が325(N/mm^2)、引張り強さが470(N/mm^2)です。両方とも強度が高いため、アルミ合金の中で最も一般的なA5052の強度を比較として挙げると、降伏点が215(N/mm^2)、引張り強さが260(N/mm^2)です。このように両者ともかなり強度があり、より強度を求める場合A7075の方が適しています。
またその他に耐食性、溶接性の観点で比較を行うと、耐食性と耐食性は両方とも劣っています。
強度 | 耐食性 | 溶接性 | |
A7075 | ◎ | × | × |
A2024 | ◯ | × | × |
A7075の用途とは?
A7075は非常に高い強度で軽いため飛行機、野球のバットに利用されます。
A7075の機械的、物理的、化学的な性質
機械的性質
降伏点と引張り強さから分かるように、A7075は非常に高い強度を誇っています。
降伏点(N/mm^2) | 引張り強さ(N/mm^2) | ブリネル硬さ(HB) |
せん断強さ(N/mm^2)
|
505 | 570 | 60 | 150 |
物理的性質
比重(g/cm^3) | 縦弾性係数(×1000Kgf/mm^2) | 線膨張係数(×10^-6乗) | 熱伝導率(cal/℃•cm•sec) | 導電率(20℃) |
2.8 | 7.3 | 23.6 | 0.31 | 33 |
化学的性質(パーセント)
Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ti | Al |
0.4以下 | 0.5以下 | 1.2〜2.0以下 | 0.3以下 | 2.1〜2.9以下 | 0.18〜0.28 | 5.1〜6.1 | 0.2以下 | 残部 |