「対策なし」2割、その理由は「意思決定の遅さ」。地政学リスクより深刻な組織内部の壁

製造業向けAIデータプラットフォームを提供するキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤勇志郎)は、日系製造業に従事する駐在員・帰任経験者を中心とした170社・188名を対象に「グローバル連携における実態調査」を実施しました。米国関税・中東情勢による地政学リスクが高まるなか、現場の視点から浮かび上がったのは、地政学リスクへの対応力を阻む「組織内部の構造問題」でした。

■ 調査サマリー

・中東情勢の影響を「特に受けていない」はわずか21.8%78.2%が何らかの影響を受けており、「コスト(輸送・調達・在庫)の増加」が55.3%で最多。調達遅延(26.1%)・需給調整困難(27.7%)とあわせ、複合的な打撃を受けた企業が多数にのぼりました。

・コスト増加を経験した企業のうち14.4%、グローバル連携課題全体でも19.1%が対策を「特に実施していない」と回答。影響を受けながらも動けていない実態が明らかになりました。

・対策に動けていない最大の理由として、「意思決定プロセスが複雑・遅い」が44.7%でトップ。地政学リスクへの対応力を左右するのは、外部環境ではなく自社の組織構造であることが示されました。

・コスト増加の認識は、経営・管理層(74.5%)と現場担当者(44.3%)の間に30ポイント以上の差。経営層が感じている危機が、現場に届いていない「情報断絶」の実態が浮かび上がりました。

 

■ 調査結果①|経営と現場に30ポイントの断絶——「情報断絶」の実態

今回の調査で最も注目すべきデータは、数字の大小ではなく、その「差」です。中東情勢によるコスト増加を「経験した」と答えた割合は、経営・管理層(取締役・部門長・執行役員)で74.5%。一方、現場担当者(リーダー/主任・一般社員)では44.3%にとどまり、30ポイント以上の開きがありました。これは情報収集力の差ではありません。リスク情報を組織全体に伝達し、行動につなげる仕組みが機能していないことを示しています。地政学リスクへの対応力とは、外部情報をいち早くキャッチする力だけでなく、それを組織全体で共有し、意思決定に活かす力でもあります。今回の調査は、その後者が日系製造業において深刻に欠けていることを明らかにしました。

■ 調査結果②|8割が受けた「三重苦」——コスト・調達・需給が連鎖する

中東情勢がグローバル連携に与えた影響として、「コスト(輸送・調達・在庫)の増加」が55.3%で最多となりました。「需給調整(在庫・生産計画)の困難化」(27.7%)、「調達・物流の遅延増加」(26.1%)が続き、「特に影響はない」はわずか21.8%にとどまりました。

注目すべきは、これらが独立した問題ではない点です。コストが上がれば在庫判断が難しくなり、調達が遅延すれば生産計画が狂う——3つのリスクは連鎖し、複合的に現場を直撃しています。

■ 調査結果③|動けない企業の正体——敵は、自社の意思決定構造だった

影響を受けながら、なぜ動けないのか。ここに今回の調査の最も重要な発見があります。コスト増加を経験した企業(104社)のうち14.4%、グローバル連携課題全体でも19.1%が「特に対策を実施していない」と回答しました。

その理由として最も多く挙げられたのが「意思決定プロセスが複雑・遅い」(44.7%)です。「コミュニケーション(言語・文化)の違い」(38.8%)や「人材・スキル不足」(35.1%)を上回り、断トツのトップとなりました。地政学リスクに対応できない最大の要因は、中東情勢でも円安でもなく、自社の意思決定の遅さです。この傾向は調査全体に共通する構造的な課題であることが示されました。

■ 調査結果④|対策している企業は何をしているか

一方で、すでに対策を講じている企業も存在します。主な取り組みとして挙げられたのは「情報共有ルールの整備」(39.9%)と「人材交流・駐在強化」(30.3%)でした。

ただし、ルールを整備するだけでは不十分です。現場が瞬時に情報を活用し、判断できるデータ基盤が整って初めて、組織の意思決定速度は上がります。地政学リスクが常態化する時代において、製造業の競争力の源泉は、平時からの「組織の意思決定速度」と「リアルタイムの情報共有基盤」にあると言えます。

<総括>

今回の調査が明らかにしたのは、地政学リスクへの対応力の差は、外部情報へのアクセスではなく、「組織が情報を共有し、速く意思決定できるか」という構造的な能力に起因するという事実です。

経営層と現場の間に横たわる30ポイントの認識ギャップ、影響を受けながら動けない約2割の企業、そして課題要因の筆頭に挙がる「意思決定の遅さ」——これらは、日系製造業が長年抱える「情報断絶」という構造的課題を、有事が改めて露わにしたものです。

地政学リスクが常態化する時代において、製造業の競争力は、モノづくりの技術だけでなく、組織全体でリアルタイムに情報を共有し、素早く判断・行動できる基盤にかかっています。

 

===調査概要===================================

調査名称:製造業のグローバル連携に関する実態調査編

調査期間:2026年4月28日・30日・5月1日

調査方法:弊社主催セミナーへの参加者へオンラインで調査

調査対象:日系製造業に従事する駐在員・帰任経験者・国内勤務者

有効回答数:170社・188名

表記:四捨五入し、小数第1位までの値で記載

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■ 製造業AIデータプラットフォームCADDi(キャディ)について( https://caddi.com/ )

「製造業AIデータプラットフォームCADDi」は、製造業のエンジニアリングチェーン・サプライチェーン上のデータを解析・関連付け、インサイトを抽出することで、生産活動と意思決定を高度化するプロダクトです。製造業の知見とAI・テクノロジーの力で、点在する経験とデータを資産に変え、競争力を高めます。

 

■ キャディ株式会社について( https://caddi.com/ja-jp/company/ )

キャディ株式会社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、点在するデータ・経験を資産化し、経営の意思決定と実行の基盤となる「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を提供するグローバルスタートアップです。「CADDi Drawer」「CADDi Quote」をはじめとするアプリケーションを通じて、判断と実行を変え、経営レベルのインパクトを生み出しています。日本をはじめアメリカ、ベトナム、タイを含む4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を実現していきます。累計資金調達額は257.3億円。なお部品調達支援事業はAIプラットフォーム事業に統合し、現在は部品・組立品の提供を終了しています。

<会社概要>

本社所在地:東京都台東区浅草橋4-2-2 D’sVARIE浅草橋ビル(総合受付6階)

代 表 者:代表取締役 加藤勇志郎

設   立:2017年11月9日

資 本 金:1億円

事業内容 :製造業AIデータプラットフォーム CADDiの開発運営

U R L :https://caddi.com/