製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
株式会社明電舎
設立
1917(大正6)年6月1日(創業1897(明治30)年12月22日)
従業員数
連結 9,886名 (2025年3月31日現在)
売上高
3,011億100万円(2024年度)
業界
一般産業機械
事業内容
電力インフラ事業、社会システム事業、産業電子モビリティ事業、<br /> フィールドエンジニアリング事業(上記3事業に関わる保守事業)
株式会社明電舎

事例 CADDi Drawer

導入から1年弱で、業務に欠かせないプロダクトに。設計効率UP、工場改革の第一歩

導入前・導入後

過去に作成した図面や関連資料はデータ化されていたが、求めるデータの検索に手間がかかっており、ベテランでないとスピーディーにアクセスすることができない状態だった。そのためメンバーによっては検索せずに、新たに図面を作成するケースもあった。また、若手のエンジニアは求めるものとは異なる図面やデータを検索してしまうなど、検索するにもコツが必要との問題もあった。

ベテランでなくても求める図面やデータが容易に検索できるようになり、結果として設計工数全体の減少につながった。また、調達部門に想定価格リストを提出する際の工数が、以前は大物部品では平均1時間程度かかっていたのが約15分に短縮された。

インタビュー

データの検索システムは整備されていたが、ベテランでないと使いこなせなかった

日本を代表する重電メーカーである明電舎の創業は1897年(明治30年)。事業を興してから間もなく130年を迎える。エンジン発電装置や水力発電設備といった電力インフラ関連製品の他、水のろ過処理関連の製品やシステム、電気自動車の検査機器や鉄道の架線検査装置など、世界初の製品も数多く手がけている。

 

その中にあって太田事業所は、大型回転機の開発や製造を主に手がける。太田事業所の回転機設計部門では、これまで手がけきた案件や製品をアルファベットや番号でコード管理し、ツリー状に関連図面やドキュメントが紐づけられるかたちで、各種図面やデータを保存していた。そのため過去に作成した図面などのデータを参照したいときには、求める図面や関連データのコード番号をシステムに打ち込めば、閲覧できるようになっていた。

 

しかし、参考にしたい案件のコード番号がそもそも何番なのか。また、今回の案件で参考となり得るデータが、ツリーのどこまでの階層まで辿ればよいのか。このような情報、つまり過去のプロジェクト内容や関連データが頭の中に入っているような、設計経験が豊富なベテランでないと、判断することが難しかった。

 

そのため経験が乏しい若手メンバーが図面や各種データ検索を行う際には、ベテランに聞かないとスムーズに進まないなど、時間を要していた。場合によってはベテランに頼ることなく自分で進めてしまい、辿り着いた図面やデータが違うことも少なくなく、一から異なる別のツリー階層を一つずつ確認していく。あるいは検索したデータが正しいと思い、そのままその図面やデータなどを参考に、新たな図面やドキュメントを作成してしまう。その後、間違っていることをベテランから指摘され、再び図面やデータなど検索ならびに、図面やドキュメントの作成をやり直す。このような状態が日常化していた。

 

「コードが分からないと、参照したい図面やドキュメントのデータを呼び出すことができませんでした。つまり、呼び出すデータの内容が分かっていないと、参照できない。正直言って製品知識が豊富で無いとスムーズに参考図面にたどり着くのが難しい状態でした。」同部門の部長を務める村松氏はこのように、設計業務における課題を述べた。

データの検索システムは整備されていたが、ベテランでないと使いこなせなかった

新人でもベテラン並のアプローチが可能に

ただ、課題をそのまま放置していたわけではない。というのも明電舎では「MAP(Meiden Advantage Program)」という業務改善活動に取り組んでおり、設計部門においては先述の課題をテーマとして、改善に向けて以前から取り組みを行っていたからだ。

 

そしてあるとき、他の事業所からの紹介で製造業AIデータプラットフォームのアプリケーションCADDi Drawerの存在を知る。「一目見て、CADDi Drawerは使えると思いました」と、村松氏。先述したようなツリー階層をひとつずつチェックしていく検索フローではなく、参考としたいプロジェクト名や図面名を入力すれば、参考となる図面やデータが一枚ではなく、複数表示されるからだ。「類似図面やデータを横並びで閲覧できるのが画期的だと思いました」と、村松氏は続けた。

 

実際に導入して使ってみると思っていたとおり、経験が乏しい新人でもベテランの設計メンバーと同じように図面やデータの検索が行えることが分かった。しかも、検索時間の短縮はもちろん、検索される図面やドキュメントの精度も高かった。特に後者、精度においてはベテランがイメージしていた、ベテランの頭の中にあった知見以上の図面やデータも表示されるため、「よりよい設計のディスカッションができるようになりました」と、村松氏は成果を語る。

 

実はMAP活動に取り組んでいた際、設計工数を削減するためのツールの導入は以前から検討していた。だが、導入に際してのイニシャル負荷が高く断念していた。というのもMAP活動のような改善活動は、通常の設計業務と並行して取り組むが、どうしても設計業務優先となる傾向が強いため、十分な労力を割けなかったからだ。そのため導入ハードルが高い改善ツールは、その時点で受け入れることが難しかったのである。

 

「対してCADDi Drawerはイニシャル負荷が低そうだとも感じました。専門のサポートメンバーがいて、導入に際してしっかりサポートしてくれる点も、他社のツールとは異なると感じましたね」

新人でもベテラン並のアプローチが可能に

指値表の作成が1時間から15分に短縮。部門利用率70%を超えるツールに

ただ、CADDi Drawerの導入も改善活動の一環だったこともあり、最初は思ったように浸透しなかった。そこで価値や成果を体感したメンバーが率先して、他のメンバーに共有するなどして、利用を推進していった。すると少しずつ利用者が増えていき、導入から1年ほど経った現在では、太田事業所の設計部門における利用率は70%を超えるまでになった。

 

実際、どのようにCADDi Drawerを活用しているのか、具体的な事例をいくつか紹介する。

 

大塩氏はこう語る。「大きい部品に関しては新たに設計しますが、蓋や支え板などの大きさを少し変えることで流用できる部品や小物類に関しては、CADDi Drawerを使って検索しています。実は以前は検索するのが手間だったので新たに図面を書いていましたが、書いているうちにそういえば見たことがあったな、と思うが何度かありました(苦笑)。CADDi Drawerを使い始めてからはそのような図面を書くことなく、CADDi Drawerで瞬時に過去の類似図面を見つけられるようになりました」

 

そのほかにも、「以前に設計したものと似たような形状ではあるけれど、部分的に特殊な形状を設計する際などに、以前の図面を参考にしたいと思い使っています」との声や、「CADDi Drawerは図面からその部品がどの製品で使われているのかが紐づけられているので、どのような案件で製品や部品が使われているのかの理解が深まっています」との声が聞かれた。

 

大塩氏からはもうひとつ。図面を作成した際には、その部品を使った製品がどの程度の価格になるのか。以前の図面を参考に、部品の重さや材料などから値段を算出し、設計で想定する価格リストを作成し、調達部門に共有する必要があった。

 

ただ、設計図面と価格表は異なるフォーマットであったため、両方を見ながら指値リストを作成する必要があった。「対してCADDi Drawerでは、設計図面内に部品の価格情報なども記載されているため、両ツールを行き来する手間がなくなりました。その結果、以前は1時間かかっていた作業が15分に短縮されました」と、大塩氏は成果を述べた。

指値表の作成が1時間から15分に短縮。部門利用率70%を超えるツールに

設計業務全体はもちろん、工場改革にCADDiのAIデータプラットフォームを活用したい

CADDi Drawerの導入からそろそろ1年。現在は先述したように図面検索や指値リストの作成での活用に留まっているが、今後は品質関連のドキュメントも、CADDiのAIデータプラットフォームに紐づけることで、販売後の製品に不具合が生じた際などに、設計部門も図面を参考に検討する。そのような新たな活用を考えており、すでに取り組みも始まっている。

 

さらにはもっと上段。案件を計画する最初の段階からCADDi Drawerを活用することで、プロジェクトをより効率的に進めていく。そして最終的には設計業務全体のイノベーションをCADDi Drawerはもちろん、CADDiのAIデータプラットフォームを使って推進していきたいと、村松氏は力強く語る。

 

実現に向けてはまさしく工場改革。現在、太田事業所も含めて4部門でCADDi Drawerを導入し、それぞれが成果を出しているが、活用事例を事業部横断で共有することで、さらなるイノベーションを推進していく。

 

キャディとの取り組みについて、村松氏はこう語る。「工場が稼働している事業部ではどうしても、常に業務が動いているので外に出ることが少なく、情報が事業部内にクローズされがちです。しかし今回、キャディさんの働きかけで他の事業部と交流する機会があり、どこの事業部も悩みは似ていて、お互いに共有できることが分かりました。今後は積極的に交流や情報共有を重ね、設計部門はもちろん工場部門のイノベーションまで、工場全体の改革を進めていきたいと考えています」

 

部門ごとの改善から、工場の改革へ。改革の輪を広げていくことがこれからのさらなる発展の足掛かりとなることだろう。

設計業務全体はもちろん、工場改革にCADDiのAIデータプラットフォームを活用したい
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