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QC(品質管理)をわかりやすく解説!必要な理由や手法を厳選して紹介

QC(品質管理)をわかりやすく解説!必要な理由や手法を厳選して紹介

QC(品質管理)をわかりやすく解説!必要な理由や手法を厳選して紹介

目次

品質管理(QC)は、製品の製造品質を維持・向上させるために行われる取り組みです。適切な品質管理を実施することで、不適合品の発生を防ぐことができ、リードタイム短縮などや不備のない納品による顧客満足度向上などのメリットを得られます。

この記事では、品質管理の基本的な考え方や品質保証(QA)との違い、具体的な実施方法について解説します。QC7つ道具やIE、PDCAサイクルなどの手法や、品質管理における課題の解決に役立つシステムについてもご紹介するので、自社の品質管理を向上させる上でご参考にしてください。

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品質管理(QC)とは

「品質管理(QC:Quality Control)」とは、生産工程において一定の品質を維持するために、検査・検証・保証を行う活動です。具体的には、製造工程での品質チェック、完成品の検査まで、各段階で品質の確認を行います。不適合品が見つかった場合は、原因を分析し再発防止策を講じることで、製品の品質向上を図ります。

必要な理由・目的

製造工程での品質管理の強化により、不適合品を早期発見・是正でき、手直しや再製造による材料費、労務費、修理費などの余分なコストや納期遅延を防ぐことができます。さらに、不適合品が理由による生産ラインの停止や遅延が減少することで、生産性も向上します。これらの取り組みは結果として、リードタイムの短縮や生産効率の改善、そして不備のない納品による顧客満足度の向上にもつながっていきます。

また、品質管理は、製造品に関連する法令・規制・規格の遵守を確実にする上でも重要な役割を果たし、企業のブランドイメージや信頼性を高める上でも役立ちます。

品質保証(QA)との違い

品質管理(QC)は製造工程における品質維持活動ですが、品質保証(QA:Quality Assurance)は、より広範な品質保証活動を指します。QAは製品の企画段階から、原材料調達、製造、販売後のサポートまで、製品ライフサイクル全体での品質保証を担います。つまり、QCはQAの一部として位置づけられ、特に製造段階での品質維持を担当する活動です。

品質保証(QA) 製品ライフサイクル全体での品質保証を担う
品質管理(QC) QCはQAの一部として位置づけられ、特に製造段階での品質維持を担当する活動

品質管理(QC)の内容・ポイント

製造業における品質管理(QC)は、品質改善、工程管理、品質検証という3つの活動で構成されています。これらの活動を適切に実施することで、製品品質の維持・向上を目指します。以下では、各取り組みの概要とポイントを解説します。

品質改善

製品の品質向上を実現するには継続的な改善活動が不可欠で、特に製品に不具合が発生した際は、その原因を特定し、再発防止策を講じることが重要です。「品質改善」では、その実現のため一連の取り組みを行います。

例えば、製造工程で不適合品が見つかった場合、品質管理担当者は製造条件や使用材料、作業手順などを詳しく調査します。そして、不良の発生原因を特定した上で、作業手順の見直しや設備の調整など、具体的な対策を実施していきます。

なお、改善提案においては現場の従業員からの改善提案も重要です。現場の人が日々の作業の中で気づいた問題点や改善のアイデアを積極的に取り入れることで、より効果的な品質改善が可能です。

工程管理

製造工程における品質の維持・向上には、各工程での適切な管理が欠かせません。そのため、「工程管理」では、原材料の受け入れから製品の出荷まで、全ての段階で品質チェックを実施します。

具体的には、作業者による目視確認や測定機器を使用した検査を定期的に行い、品質基準から外れた製品が次工程に流れないよう管理します。これにより、不適合品の早期発見と対策が可能となり、手戻り作業の削減にもつながります。

なお、工程管理では各工程での検査データを収集・分析することも重要です。データを活用することで品質傾向の把握や改善点の特定がしやすくなります。

品質検証

製品が設定された品質基準を満たしているかを確認する「品質検証」は、企業の信頼性を保つ上で重要な役割を果たします。製造品に不備があると、顧客からの信頼を失うだけでなく、製品の回収や補償など多大なコストが発生する可能性があるためです。

品質検証では、国際規格のISO9001(品質マネジメントシステムの国際規格)などに基づく品質管理体制を構築し、製品の検査基準や手順を明確に定めることで、品質のばらつきを抑制します。例えば、製造工程の各段階で原材料や部品、製品の寸法・性能・安全性などを確認し、不適合品の発生を未然に防ぐ体制を整えます。

さらに、品質検査の結果や顧客からのフィードバックを収集・分析し、継続的な品質改善にも取り組みます。不適合品が発生した場合は、原因を特定して再発防止策を講じ、品質管理体制の見直しも定期的に行うことで、より確実な品質保証を目指すのです。

品質管理(QC)を実施する方法

品質管理(QC)では、生産活動で得られるデータを効果的に分析し、それらを問題点の発見や改善に活用することが重要です。以下では、そのために役立つツールや取り組みをご紹介します。

QC7つ道具

QC7つ道具は、製造現場で発生する様々なデータを視覚的に表現し、分析する際に用いられるツールです。

データを図表化することで、問題の発見や原因分析が容易になり、品質改善に向けた取り組みを効果的に進められます。以下はツールの特徴をまとめた表ですが、それぞれをより詳しく見ていきましょう。

ツール名 特徴 主な活用シーン・使い方
パレート図 棒グラフと累積比率の折れ線グラフを組み合わせた図表 重要度の高い不良の特定をし、優先的に取り組むべき課題の選定をする
ヒストグラム データを区間ごとに分類した棒グラフで分布状況を視覚化 製品寸法のばらつき確認などにより規格外品の発生状況を把握する
特性要因図 結果と要因の関係を体系的に整理 品質問題の原因分析をし、改善策の検討をする
散布図 2つの要素を点で表示し、相関関係を可視化 製造条件と品質の関係分析をし、改善すべき要因を特定する
管理図 時系列データを折れ線グラフで表示 品質の変動監視をし異常の早期発見に役立てる
グラフ データを視覚的に把握する基本的なツール データの傾向把握をし、比較分析や情報共有をする
チェックシート データを記録する表形式のツールで、項目ごとに確認や記録が可能 点検記録の管理をし、不良発生件数の集計を行う

パレート図

パレート図は、品質管理における優先課題を特定する際に用いられる図表です。不良の種類や発生件数を大きい順に並べた棒グラフと、その累積比率を示す折れ線グラフを組み合わせて作成します。例えば、製品の不良内容を「傷」「変形」「寸法ずれ」などに分類し、それぞれの発生件数を集計することで、最も対策が必要な不良の種類を明確にできます。

ヒストグラム

ヒストグラムは、製品の品質特性を区間ごとに分類し、その分布状況を把握する際に用いられる図表です。例えば、製品の寸法データを0.1mm単位で区分けして棒グラフを作成することで、規格外品の集中する範囲や、品質のばらつき具合を視覚的に確認できます。

特性要因図

特性要因図は、問題の原因を体系的に整理する際に用いられる図で、魚の骨に似た形状から「フィッシュボーン図」とも呼ばれます。品質問題の結果に対して、「Man(人)」「Machine(機械)」「Method(方法)」「Material(材料)」の4つの視点から原因を分析し、それらの関係性を図示することで、問題の本質的な要因を特定できます。例えば、「製品の寸法ずれ」という問題に対して、作業者の熟練度や機械の精度、材料のロットばらつきなど、様々な要因を整理して分析していきます。

散布図

散布図は、2つの要素間の相関関係を分析する際に用いられる図表です。例えば、製造条件と不良率の関係を点で表示し、その分布パターンから両者の関連性を判断します。これにより、品質改善のために調整すべき製造条件を特定することが可能です。

管理図

管理図は、製品品質の時系列変化を監視するために用いられる図表です。目標値を中心線とし、許容範囲の上下限を示す管理限界線を設定します。品質データの推移を折れ線グラフで表示することで、異常な変動をいち早く発見できます。一例として、製品の重量測定値を時系列でプロットすることで、製造工程が安定しているか、異常な変動が発生していないかを即座に把握できます。

グラフ

グラフは、データの傾向や比較を視覚的に表現する基本的なツールですが、品質管理でも役立ちます。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、目的に応じて適切な形式を選択することで、品質管理に関する様々な情報を分かりやすく管理できます。例えば、製品ごとの良品率を円グラフで示せば、品質に課題のある製品を一目で特定できます。また、品質改善活動の効果を折れ線グラフで時系列表示すれば、取り組みの成果を明確に確認できます。

チェックシート

チェックシートは、品質管理に必要なデータを記録・集計する際に用いられる表です。点検項目の確認や不適合品の発生件数など、必要な情報を漏れなく記録することで、正確なデータ収集と分析をするための土台を作れます。例えば、製造ラインの時間帯別の不良発生数を記録することで、品質低下が起きやすい時間帯を特定できます。

4M

人・機械・方法・材料の4つの観点から生産現場を管理することで、品質上の問題を未然に防ぎ、発生時の原因究明に役立てることができます。先述の通り4Mは、特性要因図を用いて分析する際にも用いられます。

このフレームワークを活用することで、製造現場の状況をより体系的に分析でき、品質管理や製造オペレーションの改善に役立ちます。例えば、品質不良が発生した際には以下表のように4つの観点から、考えられる原因を分析することで、より的確な対策を講じられるようになります。

項目 考えられる原因
Man(人)
  • 新入社員の配属による作業者の入れ替わり
  • 夜勤担当者の変更
Machine(機械)
  • 検査装置のセンサー交換
  • 設備のメンテナンス
Method(方法)
  • 作業手順の改善による工程の変更
  • 新しい梱包資材の採用
Material(材料)
  • 原料サプライヤーの変更
  • 温度管理基準の変更

IE

インダストリアルエンジニアリング(IE)は、生産活動の作業工程や作業内容を科学的に分析し、業務改善を図る手法です。主に「方法研究」と「作業測定」という2つの手法から構成されています。

方法研究では、最も効率の良い作業方法を追求します。例えば、作業の流れを分析して無駄な動きを省いたり、作業者の動作を改善したりすることで、より効率的な作業環境を整えることができます。

作業測定では、作業時間を定量的に測定し、現状の分析や評価を行います。時間研究や稼働分析といった手法を用いて、作業の所要時間を正確に把握し、改善の余地を見出すことが可能です。

PDCA

PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を取った品質管理の基本的な手法です。製造業の品質管理においても広く活用されており、国際規格ISO9001にも取り入れられています。

計画段階では目標を設定し、実行段階でその計画を遂行します。評価段階では目標の達成状況を確認し、改善段階で次のアクションを検討します。このサイクルを継続的に回すことで、品質管理の精度を高められます。

品質管理(QC)でよくある課題

製造業では日々大量のデータが発生しますが、そのデータを品質管理に活用するのが難しい点が課題です。図面や検査成績書などの品質関連文書は紙やデータで保管されることが多いですが、紙の場合自社のどこに保管されてあるのかを探すのが難しく、データの場合は図番でしか検索できないなど検索性が悪いこともあり、必要な情報の検索に多くの時間を要します。

また、品質管理の手法や判断基準が担当者の経験や知識に依存しがちで、同じような品質問題が繰り返し発生するケースも少なくありません。過去の類似事例や対応策を効率的に参照できないため、問題解決に時間がかかり、品質改善の取り組みが進みづらいこともよくあります。

加えて、「それまで検証してきたデータを蓄積しているものの、そのデータを必要なときに引き出すことができず有効活用できていない」といったケースも少なくないでしょう。

さらに、製造現場の従業員に品質管理の重要性や意識が十分に浸透しておらず品質管理の精度が低いといった問題や、品質管理部門と製造現場とのコミュニケーションが不足し、問題発生時の連携がスムーズにいかないといった問題も見受けられます。

品質管理(QC)の改善に役立つシステム

品質管理業務の効率化を実現する上での1つの手段として、製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer(キャディ ドロワー)」の活用が有効です。同システムでは、図面データと品質管理情報を紐づけて管理できます。例えば、ある部品で品質問題が発生した際に、類似の部品で過去に同様の事例がないかを簡単に検索できます。

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この機能により、問題の原因特定や対策立案が迅速化され、品質管理の精度向上につながります。さらに、手書きの検査成績書もデータ化して保存できるため、書類の検索時間の大幅な削減も可能です。

まとめ

品質管理(QC)は、製造工程における品質の維持・向上に欠かせない活動です。製品の不具合を早期に発見し、適切な対策を講じることで、生産性の向上やリードタイムの短縮を実現できます。

しかし、従来の品質管理では、保管した情報の探索が難しく有効活用できないことや、担当者の経験に依存した判断が多いなど、品質管理を妨げる課題を抱えていることが多いです。加えて、それまで検証してきたデータを蓄積しているものの、そのデータを必要なときに引き出すことができず有効活用できていない、といったケースも少なくありません。

これらの課題を解決するには、品質管理データをシステム上で一元管理し、必要な情報へ素早くアクセスできる環境の構築が効果的です。

キャディ株式会社では、製造業向けのデータプラットフォームの構築を支援しているので、品質管理にお悩みの方はぜひ以下の資料をお読みください。

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キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。