社名
株式会社高瀬金型
設立
1982年
所在地
本社工場:〒492-8328 愛知県稲沢市西島一丁目138番地
従業員数
120名(2024/5)
売上高
17億8,500万円(2023年)
業界
金属加工業
事業内容
プラスチック射出成形用金型の設計・製造、プラスチック部品の射出成形製造・アッセンブリー
株式会社高瀬金型

事例 CADDi Drawer

成長を続けてきたが故の会社の歪み。データや情報連携の課題を解決し、DXを実現することで継続的に成長し続ける体制に変化させていく。

営業部、課長

髙瀬 直幸

システム部

瀬木 佑介

品質管理部 品質管理G リーダー

神谷 元基

金型製造部 設計G リーダー

佐藤 桂輔 

導入前・導入後

急拡大した売上と従業員数の増加に対して、組織体制が追従できていなかった。その結果、業務効率の低下や属人化したナレッジ・スキルの喪失など、高瀬金型の強みを失ってしまうリスクがあった。

DXプロジェクトを推進、基幹システムの入れ替えにより情報共有の仕組みが大幅に改善した。図面管理にCADDi Drawerの活用をすることで、ナレッジの蓄積や継承が実現する。

インタビュー

売上・従業員の急増に対応できる組織体制の構築が必要

高瀬金型は、金型専業メーカーとして、1982年に創業した。その後、自社で製造した金型を用いた射出成形にも対応し、金型から成形品までを一気通貫で対応している。特に、生活を支える重要分野である住宅水廻り設備、医療機器、半導体製造装置向けの部品を主力製品としている。

 

 金型と成形の両方の知見を保有していることで、プラスチック部品製造の上流から下流まで一貫して問題解決できることが強みだ。例えば、金型や成形の知見に基づいた部品設計の支援により、成形品のQCDを最適化できる。また、金型工程と成形工程の摺合せにより、難易度の高いプラスチック成形品の製造も実現可能だ。このように、一気通貫だからこそ実現できる価値提供を強みに、事業規模を拡大し続けている。

 

高瀬金型では、2023年度までの直近10年間で、売上高成長率8.9%を実現してきた。これは、既存顧客の市場が堅調に推移したことに加え、金型から成形まで一気通貫で対応するという戦略が噛み合い、顧客市場において金属から樹脂への置き換え需要が大きかったことの2点が主な要因だ。また、事業の拡大に伴い直近10年で従業員は約70名から約120名と大きく増加した。一方で、売上と人員の拡大に対して、高瀬氏はこう話す。

 

「売上や人員が増加しても、それを支える組織体制はできていませんでした。例えば、部門間で情報共有する仕組みが不十分だったため、必要な情報が必要な部署に共有されず、その影響を受けて生産現場が疲弊している状況でした。また、培われてきたノウハウが適切に継承されず属人化しているため、退職に伴いノウハウが失われるリスクがあります。今後も成長を続けるためには、組織体制の構築と属人化を解消する必要があります。その手段として、デジタル技術の活用を考えました。」

 

売上・従業員の急増に対応できる組織体制の構築が必要

新規顧客獲得と生産性改善を実現する基幹システムの刷新

直近の10年間で実現した成長率を今後も維持するためには、既存顧客だけではなく新規顧客の獲得も必要である。そのために、自社に埋もれている情報を会社全体で共有し、活用できる状態をつくりたい。しかし、活用していた基幹システムは古く、ノウハウの蓄積や全社的なデータ共有を実現することは難しかった。

 

高瀬氏は、実現したいシステムの姿について、こう話す。

 

「経営方針を実現するためには、そこを見れば欲しい情報がすべてわかるような、社内の情報やナレッジを一元管理できるシステムが必要だと考えていました。また、ERP(基幹システム)とCRM(顧客、案件管理のシステム)をシームレスに連携できることも重要です。」

 

現在はプラットフォームとなる新システムへの移管が完了し、新システムを運用しながら機能の改善、拡張を進めており、データの整理と格納はスムーズに進んでいる。一方で、システムの移行時には、データやナレッジ、特に図面に関するデータの検索性・活用性に課題を感じていた。

新規顧客獲得と生産性改善を実現する基幹システムの刷新

図面をキーとした暗黙知の形式知化をサポートするCADDi Drawer

図面の検索性・活用性を改善するために、CADDi Drawerの導入を決めた。導入の経緯について、高瀬氏はこう話す。

 

「実は導入時点で、CADDi Drawerで解決したい課題が明確に定まっていたわけではありませんでした。ただ、自社に埋もれている暗黙知を形式知化し、社内で共有・継承していく仕組みの構築には、過去のノウハウが詰まった図面がキーになると感じていました。効率よく必要な情報を取り出すためには、過去の膨大な図面の中から目的の図面を探す必要があります。それをデジタル技術でサポートできる仕組みを探していたところ、CADDi Drawerに辿りつき、トップダウンで導入を決めました。」

 

高瀬氏は、暗黙知の形式知化に加えて、新しいシステムの導入をスピード感のある企業と一緒に行うことにも狙いを持っていた。

 

「社内の若手には、勢いのあるスタートアップ企業の方とプロジェクトを進めるということを経験させたいと考えていました。スピードのある仕事の進め方を見ることで、自社の企業文化を醸成する際の起爆剤になると考えています。」

 

実務面でも、一部で効果は出始めている。基幹システムでは検索が難しかった、図面。図面のイメージは手元にあるが、製品名はわからないものは、CADDi Drawerの類似検索によってすぐに見つけられる。登録する図面にはさまざまな情報を紐づけできることから、最終的な図面に至るまでの顧客とのやり取りを蓄積することで、若手に対しては貴重な学習材料となる。

 

また、今後実現したい活用方法の一つが、要求事項の類似検索だ。製品形状が類似ではなかったとしても、要求事項が共通するものは類似品として扱い、図面に蓄積されたノウハウを確認できるようにしたい。例えば、設計的な知見をタグのような形で整理し図面に紐づけておけば、CADDi Drawerの高度な検索で抽出できる。類似の要求事項がある際に確認すべきノウハウを整理することで、設計品質の向上や設計効率化に繋がる。

図面をキーとした暗黙知の形式知化をサポートするCADDi Drawer

DXロードマップの実現に向けて

高瀬金型では、DXロードマップを作成している。まず既存の基幹システムの置き換えを実施する。次に、システムを拡張することで業務プロセス全体を一元管理できる状態を実現する。ここまで実現できれば、既存事業を深めていくことが可能だ。最終的には、新規事業の創出を目指していく。

 

2023年5月から取り組みを始めて、1年が過ぎた。まだ1合目ではあるが、基幹システムを刷新することで、社内での部門を横断した情報共有の仕組みが大幅に改善された。さらに、CADDi Drawerのような、基幹システムの機能を補完し効果を高めていくシステムとの連携も進んでいる。

 

ロードマップをさらに進めていくためには、ノウハウとなるデータの蓄積とデータドリブンの経営を行うことによる収益性の向上を実現することが必要だ。さらにその先には、顧客に提供する価値を最適化することによる、既存事業周辺での事業拡大を実現したい。

 

製造業においてキーとなるデータやナレッジが含まれた図面の蓄積は、データドリブンの経営を実現する上で欠かせない。CADDi Drawerは、図面に紐づいたナレッジの蓄積や活用を推進することで、高瀬金型のDXロードマップ実現に貢献する。

DXロードマップの実現に向けて
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