樹脂の溶接の基礎知識
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これだけは知っておくべき樹脂の溶接のポイント!
- 樹脂は実は溶接可能
- 材料を溶かして付けられるので、強度がある
比較的成形しやすい樹脂
樹脂とは石油のもととして使われている原油を、蒸留して出来上がるナフサを主原料として生成されます。このナフサを、さらに加工し、ポリマーと呼ばれる化合物を生成し、これを3~5㎜程の粒状にしたペレット材料が加工されることで、最終的に樹脂となります。
樹脂は大きく以下の2つに分けることができます。
- 熱可塑性樹脂
- 熱硬化性樹脂
まず熱可塑性樹脂は熱を加えると軟化し、冷却すると硬化するという性質持っています。そのため耐熱性はありませんが、熱によって変形ができるため、成形がしやすい、加工性が高いという特徴があります。
一方熱硬化性樹脂は、熱を加えることで軟化するという性質は熱可塑性樹脂と変わりません。しかし熱を加え続けると、硬化します。一度硬化するとそれ以降加熱しても軟化しなくなるため、熱によって硬化させ、耐熱性の高い樹脂として、フライパンの撮って部分や、コンセントなど、耐熱性が必要なものに利用されます。
比較的成形しやすい樹脂
溶接とは工作物をつなげる加工法で、金属製品にも多く用いられています。溶接方法は大きく、融接・圧延・ろう接の3つに分けることができます。
まず融接は工作物の局部的に溶融し接合する方法で、代表的なレーザー溶接はビートと呼ばれる接合部分の外観が美しいと言われています。
圧延は接合部分を加熱して、圧力をかけることによって接合する方法です。代表的なスポット溶接は薄板の溶接を得意としています。
ろう接は工作物同士を溶かすのではなく、他のものを溶かすことで、それが接着剤のような役割を果たし、結合することができる、というものです。はんだ付けなどがこの溶接方法の代表例です。
強度のある樹脂の溶接
樹脂の中で溶接が可能なのが、塩化ビニル(PVC)、アクリル(PMMA)、ポリエチレンテフタレート、ポリカボネート(PC)、ポリプロピレン、ポリエチレンの大きく6つです。
樹脂の溶接としては、溶接棒を用いたろう接が一番一般的で、溶接棒には塩化ビニルが用いられることが多いです。
溶接によく似た、溶着という接着方法がありますが、こちらは接着剤を接合したい部分に付けることで、工作物同士をくっつけます。そのため材質を溶かして接合している溶接の方が強度、気密性が高くなります。一方で、熱を加えて行われる加工法のため、工作物自体が歪んでしまう可能性があります。製品の用途、必要精度によって溶接と溶着の使い分けが必要です。
樹脂の溶接についてご紹介しました。熱に弱いというイメージが強い樹脂ですが、溶接も可能であるため、溶接が必要な用途でも、材質の一つとして樹脂を検討されてみてはいかがでしょうか。